「介護の仕事って魅力的だけれど、なんだか大変そう?」というイメージがあるかもしれません。
でも、介護業界では今、先端技術のチカラを取り入れて働く人の負担を軽減する試みを進めています。
少子高齢化の進行と共に介護業界は「慢性の人手不足」と言われています。当然、介護を受ける側の人が増え、働く人の数が少なくなれば、1人あたりの業務量が増えてしまうこともあるでしょう。また、人の身体や命に関わる仕事では、精神的・身体的な負担を感じる場合もあります。そういった様々な「負担」を軽減するために、介護業界向けのロボット(※1)やIoT(※2)が次々に開発され、現場で活用している施設・法人も徐々に増えてきているのです。
※1)厚生労働省によると「ロボットの定義とは、●情報を感知(センサー系)●判断し(知能・制御系)●動作する(駆動系)、この3つの要素技術を有する、知能化した機械システム」となっています。そして「ロボット技術が応用され利用者の自立支援や介護者の負担の軽減に役立つ介護機器を介護ロボット」と呼んでいます。
※2)IoTとはInternet of Thingsの略で、「モノのインターネット」と訳します。様々な機器をインターネットでつなぐことで活用する技術です。
では、実際に介護業界ではどのようなシーンでこれらの技術が使われているのでしょうか? 主なものを見ていきましょう。
目次
移乗の力仕事はロボットにお任せ!
装着型ロボット
介助者が身体に装着することで、筋肉の動きをサポート。移乗などの力仕事に用いれば身体負担が軽減され、疲労や腰痛予防などの効果が得られます。
非装着型ロボット
アームから吊るされたシートで利用者さんをベッドから車椅子などに移乗するような場合に用います。電動ケアベッドと介助型の電動フルリクライニング車いすが一体となったタイプもあります。
24時間利用者さんをしっかり見守る
ベッドや居室に設置したセンサーやカメラで、利用者さんが離床したらモバイル機器などにアラートでお知らせ。様々なタイプがあり、転倒防止、トイレ介助のタイミング把握、行動把握などに役立ちます。
利用者さんの快適な生活を支援
入浴支援ロボット
ベッドの脇まで移動することができる浴槽、ミスト状のお湯を用いた温浴などで、通常の入浴が難しい方の入浴を可能にします
食事支援ロボット
手に障がいがある方などが、自分で自由に食事を口に運ぶことができるシステムです。
歩行支援ロボット
こちらも装着型と非装着型があります。どちらも利用者さんの歩行をサポートし負担を軽減。転倒などのリスクを回避します。
コミュニケーションロボット
小型の人型やフェイクファーをかぶせたペット型ロボットなどがあり、利用者さんに声かけしたり、一緒にレクリエーションをしたりしてコミュニケーションを取るほか、認知症セラピーに役立つ場合も。
その他
身体に装着することで、排尿のタイミングをセンサーで検知し通知する排泄支援機器、決められた時間になると、服用する薬が自動的に出てきます服薬支援機器などもあります。
事務作業をぐんっと効率化!
ケアプランや介護記録、シフト表などをクラウド化し、タブレットやスマートフォンで閲覧・入力を可能にすることで事務作業の手間を軽減。その他にも消耗品の在庫管理なども可能です。
まとめ
「機械は苦手」「新しいことは面倒」と思われるかもしれません。しかし、これらの技術を導入した事業所では今までずっと「人」が行っていた業務を機器が肩代わりしてくれることで、「見回りの回数が減った」「身体への負担が軽くなった」と言った声が多く挙がっています。その結果、自分が楽になるだけではなく、「ミスが減った」「介護という仕事に集中できるようになった」「時間にも心にも余裕が生まれ、その分を利用者さんに向けることができるようになった」「同僚とのコミュニケーションが増えた」という人も。
ロボット&IoT技術の活用によって、介護の現場はより良い方向へ変わってきているのです。