CARE NOTE介護のノート

介護職としては唯一の国家資格「介護福祉士」とは?

介護業界キャリアアップの道

介護職として取得できる資格の中で唯一の国家資格が「介護福祉士」。介護のプロフェッショナルとしての証であり、日本国内どこでも通用する一生ものの資格です。試験に合格し介護福祉士として登録されれば、リーダーシップを発揮する機会が増え、給与や待遇も優遇されますので、長く介護業界で働くならば取得を目指したいところ。国家試験というと「難しそう」と思われるかもしれませんが、令和4年度の合格率は84.3%。がんばれそうな数字だと思いませんか?

介護福祉士って何?

介護福祉士は「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づいて定められた、「名称独占の国家資格」であり、資格を取得した人だけが名乗ることを許されます。厚生労働省では「専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護[喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。)を含む。]を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいう」としています。簡単に言えば、介助にとどまらない幅広い知識と技能を備えた介護のプロフェッショナル、と考えて良いでしょう。
一度資格を取得して登録すれば更新の必要はなく、一生資格保持者となります。登録者は年々増加しており、令和4年9月末時点では187万4074人となっています。

資格を取得するには?

介護福祉士の資格を取得するには国家試験に合格する必要があり、受験の要件は以下の3つのルートに分けられます。

  • 1.実務経験ルート

    3年以上の実務経験 + 介護福祉士実務者研修(6ヶ月以上)または介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修

  • 2.養成施設ルート

    高等学校卒業 + 介護福祉士養成施設(2年以上)または大学(社会福祉に関する科目履修)、社会福祉士養成施設等、保育士養成施設等+介護福祉士養成施設(1年以上)

  • 3.福祉系高校ルート

    福祉系高校で必要な知識・技能を習得 (卒業学校の種類・履修科目によっては実務経験や実技試験が必要になります。)

この他に、EPA(経済連携協定)ルート[EPA介護福祉士候補者(インドネシア、フィリピン、ベトナムの方向け)]もあります。

これらの要件を満たした方が国家試験を受験することができ、合格した後に登録手続きを行うと介護福祉士登録証が発行され「介護福祉士」となります。
なお、平成29年3月31日以前は介護福祉士養成施設卒業者は試験を受ける必要がありませんでしたが、同4月1日以降は新法第39条によって介護福祉士試験に合格しなければ介護福祉士になることはできなくなりました。ただし経過措置として、令和9年3月31日までに介護福祉士養成施設を卒業した方は、卒業年度の翌年度から5年間は「介護福祉士となる資格を有する者」とされます。

取得のメリットは?

  • 介護のプロフェッショナルとして認めてもらえる

    介護職唯一の国家資格を取得していることで、日本国内どこへ行っても介護のプロフェッショナルとして認めてもらえ、プライドを持って仕事に臨めます。

  • チームリーダーとして責任ある仕事を任せてもらえる

    主任やフロアリーダーユニットリーダーといった責任ある仕事を任せてもらえ、仕事へのモチベーションがアップします。また、多角的に利用者に関わることができ、介護職としてのやりがいを感じることができます。

  • 給与や手当・待遇面がアップする

    国家資格の保有者である介護福祉士は、給与や手当の面で優遇されています。その理由は技術や知識の高い方に長く働いていただきたいということはもちろん、事業所は資格取得者に手当を付与する仕組みを設けることで加算を受け取れるため、雇う側にとってもメリットがあるからです。平均給与額は資格のない方では251,430円、初任者研修286,100円、実務者研修288,260円、介護福祉士なら314,970円となっています※。

  • 就職・転職の際に有利になることもあり、選択肢が増える

    日本全国どこでも通用する資格であり、一度取得すると更新の必要はなく一生資格保持者となるため、再就職や転職にも有利です。介護福祉士の資格保持者を望む事業者も多く、より自分にあった条件の就職・転職先を選択しやすくなります。

  • 「ケアマネジャー」「認定介護福祉士」の受験資格が得られる

    介護福祉士の資格があれば「ケアマネジャー」の受験資格や「認定介護福祉士」の取得資格が得られ、さらなるステップアップが望めます。

※(出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」)

受験するには?

年1回の試験[第1次試験(筆記試験)、第2次試験(実技試験)]を受験する必要があります(実務経験ルートなどは実技試験免除)。
社会福祉士及び介護福祉士法第10条第1項の規定により厚生労働大臣が指定した(公財)社会福祉振興・試験センターにて、筆記試験は通常は1月下旬、実技試験については3月上旬に実施されます。申し込み期限を過ぎると受験できませんので、受験を考える方はご注意ください。例えば令和5年度試験は、筆記試験が令和6年1月28日・実技試験が3月3日ですが、申し込み締め切りは令和5年9月8日でした。試験会場は、令和5年度は北海道から沖縄県まで全国35か所となっています。

筆記試験の科目(13科目)

  • 領域:人間と社会

    ・人間の尊厳と自立、人間関係とコミュニケーション、社会の理解

  • 領域:介護

    ・介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程

  • 領域:こころとからだのしくみ

    ・発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解、こころとからだのしくみ

  • 領域:医療的ケア

    ・医療的ケア

  • 総合問題

    (4領域の知識・技術について横断的に問う問題を、事例形式で出題)

社会福祉振興・試験センターのサイトでは、過去の問題を見ることができます。

費用はどれくらいかかる?

資格取得には国家試験の受験手数料と、合格した場合の登録手数料がかかります(受験申し込みの際に必要となる提出書類の発行手数料等は除く)。

  • 受験手数料:18,380円

  • 登録手数料:3,320円

(金額は令和5年12月現在)

「実務経験ルート」で3年以上の実務経験と介護福祉士実務者研修修了の方で、自分で勉強して受験しようという場合は上記で済みますが、他のルートによる受験は別途学費や受講費が必要になります。また、実務経験ルートでも受験対策としてスクールなどで学ぶ場合はその分の費用がかかります。
要件に合えば、国や自治体による公的な助成金・補助金・給付金などを利用できる場合もありますので調べてみてはいかがでしょうか。

★この記事は令和5年12月現在の情報を基にしています。内容は変わることがありますので、詳細は厚生労働省や社会福祉振興・試験センターのサイトにてご確認ください。

キャリアアドバイザーより

「資格取得することで無資格の方や初任者研修の方と比較すると派遣の場合、時給が150~200円以上高くなります。また資格を持っていることで、就業条件の融通なども聞いていただきやすい等、良いことがたくさんあるのも魅力です。 取得までの道のりは少々長いですが、その分得られるメリットも大きい資格になりますので、是非取得を目指していきましょう!」